憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する会長声明
2013年(平成25年)9月10日
香川県弁護士会
会長 小早川 龍司
憲法第96条第1項は,憲法改正について,国会の各議院の総議員の3分の2以上の賛成による発議と,国民投票による過半数の賛成による承認を必要としている。
ところで,近時,複数の政党が,憲法第96条の改正の発議要件を各議院の総議員の過半数の賛成に緩和することを提案している。しかし,この憲法改正発議要件緩和には反対する。
憲法はこれまでの歴史的反省を生かして,国民主権・基本的人権の尊重・平和主義という重要な原則を定めており,このような憲法の内容こそが我が国の立憲主義を実質的なものにしている。
そして,第96条が憲法改正手続について,このような厳格な要件を定めているのは,憲法が時の国家権力によって安易に変更されることを防止するためであり,手続面から憲法保障を支えるものとして重要な意味をもつのである。
そのため,憲法改正に通常の法律の制定改正よりも厳格な要件を定める硬性憲法性は堅く維持されなければならないからである。
また,諸外国の憲法改正要件と比較しても,憲法第96条が特に厳しいものではない。
憲法改正発議要件を緩和した場合,立憲主義の基盤を弱体化させ,基本的人権の尊重や平和主義をも脅かすおそれまである。
よって,当会は,日本国憲法第96条の憲法改正の要件緩和に対し,強く反対する。