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死刑執行に強く抗議し,死刑執行を停止し死刑廃止に向けた全社会的議論を深める取組を求める会長声明(R4.8.1)

死刑執行に強く抗議し,死刑執行を停止し死刑廃止に向けた全社会的議論を深める取組を求める会長声明

                                  

2022年(令和4年)8月1日
                                  香川県弁護士会
                                  会長 古屋 時洋

 2022年7月26日,東京拘置所において1名の死刑が執行された。岸田内閣において死刑が執行されたのは,今回が2回目である。
 当会は,2011年10月以降19回にわたって「死刑執行に強く抗議し,死刑執行を停止し死刑廃止について全社会的議論を深める取り組みを求める会長声明」を発出し,死刑執行に対し強く抗議してきた。また,日本弁護士連合会は,2016年10月7日の第59回人権擁護大会において,「2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであること。死刑を廃止するに際して死刑が科されてきたような凶悪犯罪に対する代替刑を検討すること。」等を内容とする宣言を採択し,死刑廃止に向けての社会的な問題提起を行い,その後になされた死刑執行に対しても強く抗議していた。このような状況における死刑の執行は極めて遺憾であり,当会は改めて強く抗議する。
 国際社会の潮流は死刑廃止に向かっている。2018年12月17日,国連総会本会議において,史上最多の支持を得て死刑執行停止を求める決議案が可決された。2020年12月末現在,世界で死刑を廃止又は停止している国は144か国に上っている。死刑を存置している国は56か国であるが,2020年に実際に死刑を執行した国は18か国であった。いわゆる先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で死刑制度を存置している国は,日本・韓国・米国の3か国のみであるが,このうち,韓国は死刑執行を停止し,米国においては死刑を廃止する州が23州に上り,2021年7月には、司法長官が連邦レベルでの死刑の執行を停止する指示を出しているのであって,死刑を国家として統一して執行しているのは日本のみである。
 2014年3月27日には,静岡地方裁判所が袴田巖氏の第二次再審請求事件について,再審を開始し,死刑及び拘置の執行を停止する決定をした。2018年6月11日,東京高等裁判所は,再審開始決定を取り消したが,2020年12月22日,最高裁判所は東京高等裁判所の決定を取消し,審理を同裁判所に差し戻す旨を決定しており,えん罪が強く疑われる状況である。もし,袴田氏に対し死刑の執行がなされていたならば,まさに取り返しのつかない事態となっていた。この袴田事件の再審開始決定により,えん罪によって死刑が執行されるという,死刑制度がはらむ重大な問題が現実のものであることが浮き彫りになったのであって,今こそ死刑について議論を深めなければならないときである。
 当会は,これまでの死刑執行に対しても抗議してきたところであるが,今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに,改めて死刑執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開し,死刑制度の廃止に向けての全社会的議論を深めていく取組を行うことを求めるものである。

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