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性的マイノリティに対する差別発言に抗議し、 速やかな同性婚の法制化を求める会長声明(R5.3.8)

性的マイノリティに対する差別発言に抗議し、速やかな同性婚の法制化を求める会長声明

                                  

2023年(令和5年)3月8日
                                  香川県弁護士会
                                  会長 古屋 時洋

 2023年(令和5年)2月3日、内閣総理大臣前秘書官が首相官邸における記者団からの質問に対して、同性カップルについて「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」、同性婚について「社会に与える影響が大きい。マイナスだ。秘書官室もみんな反対する」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」という趣旨の発言を行ったことが報道された。
 前秘書官の上記発言は、個人の性的指向や性自認を理由としたいわれなき偏見に基づく差別にほかならず、性的マイノリティに対する重大かつ明白な人権侵害である。行政府の中枢を担う内閣総理大臣の秘書官からかかる発言がなされたことは、社会の多様性を否定し、分断を助長するものであって、断じて許されるものではない。
 また、同差別発言は、同月1日の第211回通常国会予算委員会において、岸田文雄内閣総理大臣が同性婚の法制化に関する質問に対して「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と答弁したことについての質問を受けてなされたものであったところ、内閣総理大臣の同答弁自体が同性婚の実現に対する消極的姿勢を示すものである。2023年(令和5年)5月には主要7か国首脳会議(G7広島サミット)を控える中、主要7か国の中で同性間の婚姻もしくは婚姻に準じたパートナーシップの保障や性的マイノリティへの差別の禁止について何らの立法措置がなされていない国は日本のみであり、このような現状を放置することにより、議長国たる日本の人権意識が国際的にも問われることとなる。
 四国弁護士会連合会は2022年(令和4年)11月11日に「性的マイノリティが抱える人権課題の解決を推進するとともに、同性婚の実現と同性カップルの共同生活の法的保護に向けた取組みを求める宣言」を決議しており、当会も同宣言を受けて、性的マイノリティの人々が抱える人権課題の解決のための諸活動に取り組んでいる。上述した内閣総理大臣の答弁及び前秘書官の差別発言は、これらの取組みにも反するものであり、許容できるものではない。
 当会は、前秘書官の性的マイノリティに対する差別発言に厳重に抗議するとともに、性的マイノリティに対する不当な差別を是正し、その尊厳を回復するため、国に対して速やかに性的マイノリティへの差別禁止のための施策を進め、同性婚の法制化を実現することを求める。

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