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集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議しその即時撤回を求める会長声明(H26/07/09)

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議しその即時撤回を求める会長声明

2014年(平成26年)7月9日
香川県弁護士会
会長 籠 池 信 宏

 

安倍内閣は、本年7月1日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。
しかしながら、①集団的自衛権の行使容認は、現行憲法の解釈としては限界を超えるものであること、②集団的自衛権の行使の是非は憲法改正手続に委ねられるべきこと、並びに、③行政機関に過ぎない内閣の閣議決定によって集団的自衛権の行使を容認しても、閣議決定及びそれに基づいた具体的措置は違憲となり、法的に無効となること、いずれも去る5月2日付の当会会長声明において指摘したとおりである。
そして、当会より、政府関係各位に対し、憲法99条に定める憲法尊重擁護義務に従い現行憲法の定める手続を遵守するよう強く求めていたところであった。
にもかかわらず、今回、安部内閣が集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行ったことは、極めて遺憾というほかない。
内閣の閣議決定によって集団的自衛権の行使を容認しても、閣議決定及びそれに基づいた具体的措置が違憲・無効となることは既に指摘したとおりであるが、裁判手続によって司法府による違憲・無効判断が実際に行われるまでには相当な時間を要するところ、司法府による正式な判断がなされるまでの間に、違憲な閣議決定に基づいて具体的な措置が次々と実行されれば、いざそれらの措置を遡って無効とするに際して、様々な国際的及び国内的混乱が生じることも予想されうる。もしこのような混乱が生じれば、それは全て内閣の責任であるが、混乱によって生じる不利益は、全国民さらには関係各国の国民までもが被ることとなる。内閣は、自らの違憲な閣議決定が招く混乱の発生を回避すべく、憲法尊重擁護義務に従い、今からでも善後策を講じる義務がある。すなわち、司法府の違憲判断を待つのではなく、内閣自らによって、違憲な閣議決定を即時撤回することが、今後の混乱を最小限にとどめるための最善の手段である。
当会は、本声明により、閣議決定による集団的自衛権の行使容認が違憲・無効であることを改めて確認するとともに、当会及び関係各方面からのこのような指摘を無視してかかる閣議決定が行われたことに強く抗議し、内閣に対し、当該閣議決定の即時撤回を求めるものである。

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