衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長談話
平成23年3月28日
香川県弁護士会
会長 大 平 昇
平成23年3月23日、最高裁判所大法廷は、平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙(小選挙区選出議員選挙)における定数配分に関し、各都道府県にまず1人を配分し、残余の定数を人口比例で配分するいわゆる「1人別枠方式」について、「遅くとも本件選挙時においては、その立法時の合理性が失われたにもかかわらず、投票価値の平等と相容れない作用を及ぼすものとして、それ自体、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」とし、選挙区割りについても、「1人別枠方式を含む本件区割基準に基づいて定められたものである以上、これもまた、本件選挙時において、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」とした上、「できるだけ速やかに本件区割基準中の1人別枠方式を廃止」するなど「投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要がある」旨の判決を言い渡した。
いうまでもなく、選挙権は、現代の民主主義社会の根幹を構成する極めて重要な権利であり、一票の実質的価値に明らかな差異が生じることになると、有権者の意思を公平且つ合理的に立法府に反映させるという平等選挙制度の機能は著しく阻害され、選挙権の平等は形骸化してしまうことになる。
当会は、かかる投票価値の平等の保障の重要性に鑑み、国に対し、速やかに、「1人別枠方式」を廃止するとともに、でき得る限り投票価値を平等にするための措置を講じることを強く求めるものである。