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成年年齢引下げに伴い若年者の消費者被害が拡大することを防止するため、実効性ある施策を早急に実現すること等を求める会長声明(R3.11.9)

成年年齢引下げに伴い若年者の消費者被害が拡大することを防止するため、実効性ある施策を早急に実現すること等を求める会長声明

                                           2021(令和3)年11月9日
                                             香 川 県 弁 護 士 会
                                              会 長  藤 本 尊 載
 
 民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号。以下「民法改正法」といいます。)の施行日である令和4年4月1日まで半年を切りました。
 民法の成年年齢引下げについては、特に18歳、19歳の若年者の未成年者取消権が失われることに伴い、消費者被害が拡大することへの懸念が指摘されてきました。
 そこで、2018年の民法改正法の成立に際しては、参議院法務委員会において全会一致の附帯決議がされました。具体的には、①知識、経験、判断力の不足などの事情を利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)を創設すること、②若年者の消費者被害を防止、救済する制度を創設すること、③マルチ商法等の被害の実態に即した対策について必要な措置を講ずること、④消費者教育の充実を図ること、⑤若年者に理解されやすい形で周知徹底を図ることや社会的周知のための国民キャンペーン実施を検討すること、⑥施行日までに上記の措置の実施、効果、国民への浸透について調査、検討し、その状況について随時公表することなどが求められたものです。
 しかし、民法改正法成立から3年が経過し、施行まで半年を切った現在においても、「つけ込み型不当勧誘取消権」は創設されておらず、若年者の消費者被害を防止、救済するために必要な措置は講じられていません。消費者教育や若年層への周知についても、消費者教育についてのキャンペーンや教員向けのセミナー、消費者庁における若者ナビの開設等の取組みがされているものの、若年層をはじめとする国民に対して、18歳で未成年者取消権が失われることの意味やリスクが十分に周知され浸透しているとは言い難い状況です。
 このままの状況で令和4年4月1日を迎えれば、18歳、19歳の若年者への消費者被害拡大という懸念が現実化することは明らかであり、施行まで4年近くもの準備期間を設けた意味もありません。
そこで、当会は、国に対し、前記附帯決議で示された各施策について速やかな実現を強く求めるとともに、仮にこれらが実現されない場合、民法改正法中、少なくとも未成年者取消権の行使可能年齢を引き下げる部分について施行を延期することを求めます。

                    

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