いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法を改正する法律の廃止を求める会長声明
2017年(平成29年) 7月13日
香川県弁護士会
会長 滝 口 耕 司
1 当会は,いわゆる共謀罪の創設を含む「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(以下「本法」という。)」の成立に強く抗議するとともに,本法の廃止を強く求める。


2 2017年(平成29年)6月15日,参議院本会議において,異例の手続により,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の採決が強行され,本法が成立した。
しかし,国会審議を経ても,本法は,当会が度重ねて,そして,一貫して,指摘してきた問題点(詳細は,2015年(平成27年)8月11日付け,2016年(平成28年)11月8日付け,2017年(平成29年)6月14日付けの各会長声明参照。)を何ら克服できていない。
 すなわち,本法は,曖昧かつ解釈運用で広範に適用しうる要件を定めているため,一般市民・市民団体も「組織的犯罪集団」と認定され,共謀罪の捜査・処罰の対象となりうると懸念される。また,「計画」を捜査対象とするため,電話・メール・SNS等のコミュニケーションツールが捜査機関による監視の対象となることは避けがたい。これは,私生活上の個人の思想やコミュニケーションが監視される点において思想・良心の自由やプライバシーの侵害であり,思っていることを言葉にすることを委縮させる点で表現の自由の侵害に他ならない。さらに,本法は,恣意的に選定された277もの罪に共謀罪を設けることで,未遂すら処罰されない犯罪であっても,未遂のはるか手前にある「計画」の段階で処罰することを可能とする点で,これまでの我が国の刑罰法規の大原則を根底から覆すものである。


3 政府・与党は,本法を,国連越境組織犯罪防止条約(以下「条約」という。)を批准するために必要なものと訴え,テロ対策の美名のもと強硬に成立させた。
しかし,実際には,本法によらずとも,判例法を含む我が国の刑罰法規は条約批准の要件を充たしている上,そもそも条約は,国際的な経済犯罪等の取締りを目的とするものであって,テロ対策を目的としたものではない。我が国のこれまでの刑罰法規の大原則に反し,一般市民・市民団体のプライバシーや表現活動等を危険にさらしてまで本法を成立させる必要性は皆無である。
 しかも,本法に対して,国民のみならず,国際社会からも,本法が国民のプライバシーや表現活動等に対して与える多大な影響を懸念する声が寄せられたにもかかわらず,参議院法務委員会における採決を行わないまま,同委員会の中間報告を経て参議院本会議で採決を行うという,極めて強引な手法がとられた。
 このような国会手続は,異例であるにとどまらず,国会法の要件を満たしていないものと考えられる。
 すなわち,本法は,実質的な内容に問題があるばかりか,審議手続にも大きな瑕疵がある。


4 当会は,我が国が国民の自由と権利を守る民主主義国家であり続けるため,また,国際社会に対して,理性的で自由を愛する国家であることを示すためにも,このような本法の成立に強く抗議するとともに,本法の廃止を強く求める。