特定秘密保護法案の衆議院可決に抗議する会長声明
2013年(平成25年)12月3日
香川県弁護士会
会長 小早川 龍司
 平成25年11月26日,特定秘密保護法案が衆議院において可決され,参議院に送付された。
 同法案については,特定秘密の範囲が広範かつ不明確であり,また,行政機関の長の恣意的な判断によって「特定秘密」の指定がなされ,国民の知るべき情報が統制・隠蔽されるなどして,国民の知る権利が侵害される危険が大きいこと,「特定秘密」の漏洩による処罰の範囲が広範で,重罰化されていることから,取材活動が広く制限され,報道機関等の取材・報道の自由を侵害し,言論の自由に対する萎縮効果をもたらすものであること,適性評価制度の導入により,対象となる者及びその周辺の者らのプライバシーの権利や思想・信条の自由等を侵害する危険が大きいことなどから,本会は,平成24年10月9日に「秘密保全法制に反対する会長声明」を,本年11月12日に「特定秘密保護法制定に反対する会長声明」をそれぞれ発表し,これに反対してきた。
 本年10月25日,政府は同法案を国会に上程し,同法案は本年11月26日衆議院を通過して参議院に送付された。
 しかしながら同法案は,衆議院における審議の過程において一部修正が加えられたものの,同修正案によっても同法案の有する問題点は何ら払拭されていない。すなわち同修正案においては秘密の指定期間が最長60年とされたが,その期間があまりにも長すぎるのみならず,7項目にもわたって広範な例外が設けられている。第三者機関の設置についても,あくまで付則において検討するとされたに過ぎない。そして,プライバシー侵害のおそれが極めて高い適性評価制度については何ら見直されていないばかりか,見直しに向けた議論すらなされていない。
 加えて同年11月25日に福島県で開かれた地方公聴会では,意見陳述者全員が慎重または反対の立場を表明していた。したがって,政府としては同法案の持つ危険性を十分に認識し,それらの懸念を払拭するためにも,より慎重な審議を行うべきであった。しかしながら,衆議院においては,こうした国民の声を無視し,慎重な審議がなされないまま,採決がなされたものであって,極めて拙速であると言わざるを得ず,到底是認できない。また,同法案は,「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)といった国際ルールにも反するものである。
 本会は,同法案の衆議院での採決について強く抗議するとともに,参議院において十分な審理を尽くし,同法案の廃案を求めるものである。