特定秘密保護法制定に反対する会長声明
2013年(平成25年)11月12日
香川県弁護士会
会長 小早川 龍司
 政府は,開会中の臨時国会に,特定秘密保護法案(以下「本法案」という。)を提出し,その成立を目指している。本会は,従前の「秘密保全法制」につき,既に,平成24年10月9日,反対する旨の会長声明を発表しているが,本法案についても断固反対するものである。
 本法案は,行政機関の長が,「防衛」,「外交」,「特定有害活動の防止」及び「テロリズムの防止」の4分野で「特定秘密」を指定することとし,これを漏らした者等に重罰を科すとともに,「特定秘密」の取扱いの業務を行う者については,個人情報も調査対象とした「適正評価」を行うという内容になっている。
 しかしながら,保護の対象となる「特定秘密」の範囲は広範かつ不明確であり,また,行政機関の長の恣意的な判断によって「特定秘密」の指定がなされ,国民が知るべき情報が統制・隠蔽されるなどして,国民の知る権利が侵害される危険が大きい。
 「特定秘密」の漏洩による処罰範囲も,故意による漏洩行為のほか,過失の漏洩行為,未遂,共謀,教唆又は煽動までが処罰対象とされているうえ,取得行為についても処罰の対象とされているなど極めて広範に及ぶ。法定刑についても,上限が懲役10年と極めて重い。
 このような処罰の広範化,重罰化は,取材活動に対する萎縮効果をもたらし,報道の自由や,ひいては国民の知る権利を侵害する危険が大きい。
 また,「特定秘密」の取扱いの業務を行う者に対する「適正評価」においては,通常他人に知られたくない個人情報も調査対象とされており,プライバシーの権利や思想・信条の自由等の侵害の危険が大きい。
 上記に対し,本法案は,「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分配慮しなければならない。」と規定するが,これは単なる訓示的規定にすぎない。また,「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については,専ら公益を図る目的を有し,かつ,法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは,これを正当な業務による行為とするものとする。」と規定するが,当該条項自体が抽象的,かつ,不明確であって,「正当業務」に該当するか否かが予測できないことから萎縮効果を何ら払拭できない。また,そもそも同規定は一般市民や市民ジャーナリストには適用されない。
 このように,本法案は,国民の基本的人権を侵害する大きな危険を孕んでいる。
 国家の安全保障に関わる情報の保護は,情報管理システムの適正化によって図られるべきであり,国民の基本的人権を不当に制限することは許されない。
 よって,本会は,本法案の制定に断固反対する。