死刑執行に関する会長声明
平成25年5月1日
香川県弁護士会
会長 小早川 龍司
 2013年4月26日、谷垣禎一法務大臣により、東京拘置所において、2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。当会は、今年3月13日にも、谷垣法務大臣による死刑執行に対して声明を発表した。日本弁護士連合会も、2月21日、同大臣に対し「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑制度に関する検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開すること、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めている。谷垣法務大臣も、死刑制度の運用にあたっては「十分慎重に考える」旨表明していた。にもかかわらず、今回の執行は、前回の執行から僅か2ヵ月あまりでの執行という極めて遺憾な事態である。

死刑の廃止は国際的な趨勢である。2012年10月31日現在、死刑存置国は58か国であるのに対し、廃止国は、事実上の廃止国も含めると存置国の約2.5倍の140か国にも及ぶ(アムネスティ・インターナショナル)。また、2012年12月20日には、国連総会において、全ての死刑存続国に対し、死刑廃止を視野に執行を停止するよう求める決議が過去最多の111か国の賛成多数で採択された。
こうした状況において、死刑執行を繰り返す日本の姿勢は際だっており、政府は国連関係機関から繰り返し、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう勧告を受けているが、政府はこうした問題提起に対して真摯な検討を行うこともなく、死刑執行を続けている。
また、近時、既に死刑が執行され、再審請求中の飯塚事件において、DNA型の再鑑定が弁護団によって実施されたが、死刑は、執行されてしまえば、仮に再審でえん罪であると明らかになってももはや取り返しがつかないという本質的問題をはらんでいる。

わが国においては、政府による極端な密行主義のもと、死刑に関する情報がほとんど明らかにされておらず、国民は死刑制度に関する議論を行う前提を欠く状態に置かれている。今後、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行の具体的方法と問題点などに関する情報の開示がなされたうえで、死刑という究極の刑罰を許容すべきか否かについて、全社会的な議論がなされなければならない。

当会は、わが国において、死刑制度の是非及び問題点について十分に検討されることもないまま、死刑が執行されたことについて強く抗議する。そして、政府に対し、死刑制度に関する抜本的な検討が行われかつそれに基づいた施策が実行されるまでの間、死刑執行を停止することを強く求める。