死刑執行に関する会長声明

平成24年9月20日

香川県弁護士会
会長 白井 一郎

2012年8月3日、東京、大阪の各拘置所において、それぞれ1名に対する死刑が執行された。

日本弁護士連合会は、昨年10月7日に香川県で開催された第54回人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択し、国に対し、死刑廃止について全社会的な議論を開始すること、及びその議論の間、死刑の執行を停止することを求めてきたところである。それを受けて、当会においても、死刑廃止検討プロジェクトチームを設置し、死刑廃止について全社会的議論を深めていくための議論を行ってきた。

死刑の廃止は国際的な趨勢であり、2012年6月12日現在、存置国は58国であるのに対し、廃止国は、事実上の廃止国も含めると存置国の約2.5倍の141国にも及ぶ(アムネスティインターナショナルの調査結果による)。  日本政府は、国連関係機関から、繰り返し、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう求められてきた。近年では、2008年10月、国際人権(自由権)規約委員会から総括所見において、「締約国は、世論調査の結果にかかわらず、死刑の廃止を前向きに検討し、必要に応じて、国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきである。」等の勧告がなされていた。しかし、日本政府は、こうした問題提起に対して真摯な検討を行うこともなく、死刑執行を続けている。  また、近時、既に死刑が執行され、再審請求中の飯塚事件において、DNA型の再鑑定が弁護団によって実施されることになったが、死刑は、執行されてしまえば、仮に再審でえん罪であると明らかになってももはや取り返しがつかないという本質的問題をはらんでいる。

わが国においては、政府による極端な密行主義のもと、死刑に関する情報がほとんど明らかにされておらず、国民は死刑制度に関する議論を行う前提を欠く状態に置かれている。今後、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法と問題点などに関する情報の開示がなされたうえで、死刑という究極の刑罰を許容すべきか否かについて、この問題に関心を持つ人々の間の議論にとどまらず、全社会的な議論がなされなければならない。

当会は、わが国において、死刑制度の是非及び問題点について十分に検討されることもないまま、死刑が執行されたことについて強く抗議する。そして、日本政府に対し、死刑制度に関する抜本的な検討が行われかつそれに基づいた施策が実行されるまでの間、死刑執行を停止することを強く求める。