全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明

平成22年3月15日

香川県弁護士会
会長 藤本 邦人

 弁護士付添人は、非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう、少年の立場から審判手続に関与し、家庭や学校・職場等少年を取り巻く環境の調整を行い、1人でも多くの少年が更生できるよう支援する活動を行っている。
少年審判を受ける少年の多くは、生育歴、家庭環境に大きな問題を抱え、信頼できる大人に出会えないまま非行に至っている。このような少年を受容・理解した上で、少年に対し、必要な法的・社会的援助を行い、少年の成長・発達を支援する弁護士付添人は少年の更生にとって不可欠な存在である。特に、観護措置決定を受け少年鑑別所で身体拘束された少年は、生育歴、家庭環境に大きな問題を抱えていることが多く、少年院送致などの重大な処分を受ける可能性が高いことから、弁護士付添人の援助を受ける必要性が高い。
このような付添人の重要性に鑑みれば、国は、国選付添人対象事件を、観護措置決定を受け、少年鑑別所で身体拘束された少年の事件にまで拡大すべきである。
我が国が批准した子どもの権利条約37条(d)も「自由を奪われたすべての児童は、・・・弁護人(及び)その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有する」と規定している。
しかし、現状の国選付添人制度は、対象事件を重大事件に限定し、しかも、その中でも家庭裁判所が必要と認めた場合にしか付添人が付されないことから、観護措置決定を受けて身体拘束された少年の弁護士付添人選任率は約40パーセントに止まっている。成人の刑事裁判では約98パーセントの被告人に弁護人が選任されていることに比べれば、少年に対する法的援助は著しく不十分であると言わざるを得ない。
また、平成21年5月21日以降、被疑者国選弁護制度の対象事件が必要的弁護事件にまで拡大されたことに伴い、成人の場合は起訴前・起訴後を通じて国費により弁護人の援助を受ける機会が与えられているのに対し、少年の場合には、上記のとおり、極めて限定的な場合にしか国選付添人が付されないという制度に止まっていることから、被疑者段階で弁護人が付いても、家庭裁判所送致後は国選付添人が付かず、多くの少年について付添人が付かないまま審判を受けるという事態が生じている。
このような状況の下、付添人の重要性に鑑み、日本弁護士連合会では全ての会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し、弁護士費用を賄えない少年に私選付添人の費用を援助する少年保護事件付添援助制度を実施してきた。また、当会では、2008年8月1日から、観護措置決定により身体拘束を受けた少年の要望があれば、弁護士が無料で少年と面会して助言を行う当番付添人制度を実施している。そして、当会の会員は、この当番付添人制度を契機にして積極的に少年保護事件付添援助制度を利用し、私選付添人となって精力的・献身的に活動している。
しかし、少年に法的援助を与えることは国の責務であり、法的援助を必要とする少年に対し、国費で付添人を付けることができる権利を保障すべきである。弁護士会の財政的負担によって支えられている少年保護事件付添援助制度に頼るべきではない。
よって、当会は、政府に対し、国選付添人制度の対象事件を少年鑑別所送致の観護措置決定により身体拘束された少年の事件全件にまで拡大する少年法改正を速やかに行うよう求めるものである。

以上